【執務室とは】意味・役割・レイアウトを
わかりやすく丁寧に解説|事例と実践ポイント付き

企業の成長を支える「執務室」の再定義:単なる作業場ではない戦略的空間

私たちが毎日働き、ビジネスの成果を生み出す場所、それが執務室(しつむしつ)です。 「執務室」と聞くと、デスクとPCが並ぶ画一的な空間をイメージしがちですが、現代のビジネスシーンにおいて、その役割は大きく変化しています。

もはや単なる「作業を行う場所」ではなく、従業員の集中力・創造性・チームの連携力を最大限に引き出し、企業の経営戦略を具現化する「戦略的空間」としての重要性が高まっています。

本記事では、オフィス環境に精通し、多くの企業の「働く場」づくりをサポートしてきたプロの視点から、執務室の基本的な定義から、企業の課題を解決に導く最新のレイアウト戦略、そして実務に役立つ具体的な設計のポイントまでを、わかりやすく解説します。


1. 執務室とは? 意味・役割から紐解く現代オフィスの「基盤」

1-1. 執務室の基本定義と現代における役割

執務室とは、従業員が日常的かつ恒常的な業務を行うための専用空間を指します。

項目 定義と役割
主目的 デスクワーク、PC作業、書類作成、電話対応など、日常のコア業務遂行の場。
空間の特性 集中と効率を最優先に設計され、企業の生産性の土台となる。
活動内容 個人の集中業務とチーム内の連携業務がメイン。企業の活動基盤。
適用範囲 企業の本社・支店に加え、官公庁、教育機関、医療福祉施設など幅広い。

特に現代では、執務室は以下の4つの重要な役割を担っています。

  1. 【生産性の最大化】:業務効率を高めるための最適な動線と環境(光、音、温度)の提供
  2. 【エンゲージメントの向上】:「ここで働きたい」と思える快適性・デザインで、社員の愛社精神やモチベーションを育成
  3. 【企業文化の醸成】:レイアウトやデザインが、企業の目指す働き方(オープンな対話、集中と静寂など)を体現
  4. 【BCP対策/セキュリティ】:情報漏洩リスクの低減、災害時の安全確保など事業継続の基盤となる機能の確保

1-2. 執務室とその他のオフィス空間との明確な違い

オフィスには執務室以外にも多様な空間が存在します。それぞれの目的を明確に理解することが、最適なオフィス設計の第一歩です。

空間名 主目的 雰囲気の傾向 設備例 設計で
重視する要素
執務室 日常のコア業務、
生産性向上
落ち着いて静か、
機能的
デスク、タスクチェア、
PC、収納
集中度、効率性、
快適性
会議室 意思決定、打合せ、
商談
機能的、
機密性重視
電子黒板、プロジェクター、
Web会議システム
プライバシー、機能性、
接続性
休憩/
リフレッシュスペース
気分転換、
非公式な交流
リラックス、
居心地の良さ
ソファ、カフェカウンター、
軽食設備
快適性、交流促進、
非日常感
ミーティング
ブース
短時間の
カジュアルな打合せ
オープン、
立ち話可
ハイテーブル、
ホワイトボード
柔軟性、手軽さ、
連携促進

ポイント
執務室は、これらの他の空間と連携しつつも、「日常の業務を継続的に、かつ高効率で遂行する」という点で、役割が明確に差別化されます。



2. 課題解決に直結!執務室の主要なレイアウト戦略と選び方

執務室のレイアウトは、働き方やコミュニケーションの質を決定づける「設計思想」そのものです。
企業の抱える課題や理想とする働き方に応じて、最適なレイアウトを選択する必要があります。

2-1. 主要な執務室レイアウトの比較と分析

スタイル 特徴 課題解決の方向性 メリット デメリット
対向型 島型。向かい合わせ配置で部署・チーム単位の連携が容易。 チーム内の対話促進、連携強化を目指す企業。 コミュニケーション円滑化、管理しやすい、コスト効率◎ 騒音が集中を妨げやすい、パーソナルスペースが狭い
同向型 全員が同じ方向を向く配置。教室型とも呼ばれる。 個人の集中業務を重視し、雑音を最小限に抑えたい企業。 集中しやすい、プライバシー確保、外部からの視線カット 部署間の対話が生まれにくい、連携はやや困難
ブース型 デスクをパーテーションで半個室風に区切る。 高い集中力や機密性の確保(コールセンター、開発部門など)。 集中力向上、セキュリティ↑、個人の業務効率が高い 圧迫感、コスト高、部門間の壁ができやすい
フリーアドレス型 固定席を設けず、日々の業務内容に応じて席を自由に選択。 部門・チームを超えた交流促進、オフィス出社率の最適化。 柔軟性、創造性、オフィス面積の効率化 席確保の不公平感、書類管理のルール化が必須
アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW型) 業務内容(集中、コラボレーション、リラックスなど)に合わせた専用ゾーンを複数設ける。 多様な職種・働き方を抱え、効率と創造性を両立したい企業。 柔軟性の極致、高い生産性、多様な社員ニーズに対応 導入コストが高額、運用ルールの定着に時間と教育が必要

2-2. レイアウト選定の鍵は「働き方の定義」

どのレイアウトが最適かは、企業ごとに異なります。選定の際は、以下の質問を自社に問いかけてみてください。

  • 「私たちは何を解決したいのか?」(例:部門間の壁をなくしたい、集中力を高めたいなど)
  • 「日々の業務において、会話と集中の比率はどれくらいか?」
  • 「将来的な増員計画や組織変更の柔軟性は必要か?」

最適なレイアウトは、単にデスクを並べることではなく、「この空間で社員にどのような行動をとってほしいか」という働き方のコンセプトを可視化することに他なりません。



3. 生産性と快適性を両立する執務室デザインと家具の極意

3-1. 働きやすさを最大化するデザインの工夫

執務室の「働きやすさ」は、デザイン的な要素によって大きく左右されます。

要素 実践ポイント 期待できる効果
光環境
(照明)
自然光を最大限に活用し、
調光・色温度を調整できる設備を導入
集中力の持続、
疲労の軽減、気分転換の促進
音環境
(騒音対策)
吸音材・音響パネル・集中ブースの設置、
Web会議用の空間隔離も重要
業務効率の向上、
情報機密性の確保、ノイズストレスの低減
色と素材 ブランドカラーを効果的に活用し、
アースカラーとエコ素材を基調に
リラックス効果、
企業文化の体現、環境意識のアピール
動線設計 部署間の移動や共有スペースへの
アクセスがスムーズな設計
無駄な移動の削減、
ストレス軽減、業務の停滞防止

3-2. 疲労軽減と効率化を叶える執務室に適した家具選定

執務室の家具は、社員の身体的負担と業務効率に直接影響します。長期的な視点での投資が必要です。

1. 高機能オフィスチェア

  • 選び方のポイント: 長時間の業務でも疲れにくい設計が最優先。座面の高さ、背もたれの角度、アームレストの高さ調整など、個人の体格に合わせた調整機能が必須。
  • 効果: 姿勢の安定、腰痛などの健康リスク低減、集中力の持続
快適な職場環境を実現するオフィスチェアの選び方とその効果~おすすめのオフィスチェア3選もご紹介!~

2. 多機能デスク

  • 選び方のポイント: PC作業だけでなく、書類を広げるスペースを確保できる適切な奥行きと幅配線整理機能や、モニターアームなどを設置できる拡張性。
  • トレンド: 昇降機能付きデスク(スタンディングデスク)の導入は、健康経営と作業効率向上に貢献します。
オカムラの上下昇降デスク「Swift(スイフト)」

3. 可動式家具と収納

選び方のポイント
キャスター付きのワゴンやパーテーションは、レイアウト変更や急なチーム編成に対応する柔軟性を生みます。書類や備品は、「誰でも・すぐに」アクセスできる共有収納と、個人のセキュリティを確保する収納をバランス良く配置。

用途に合わせて選べるアスカのデスクワゴンシリーズ
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4. 執務室リニューアルを成功に導く実践的ステップ

オフィスの移転やリニューアルは、企業の将来を左右する一大プロジェクトです。計画から導入、運用までの5つのステップを確実に踏むことで、失敗リスクを最小限に抑えます。

4-1. 執務室リニューアル成功への5つのプロセス

ステップ 実施内容 最重要ポイント
① 現状分析と課題の見える化 アンケートやヒアリングで
不満点や非効率をデータ化
現場の声を最重視し、
課題を定量化する
② コンセプト設計と働き方の定義 「〇〇なオフィス」を言語化し、
ゴールを共有・設定
目標を明確にし、
後工程のブレをなくす
③ レイアウト・家具・素材の選定 コンセプトに基づき、
多様な製品を比較・検討
専門家の知見を取り入れ、
機能と美観を両立
④ 予算・工程スケジュールの設計 総コストと実行計画を策定し、
予備費・期間も設定
信頼性を高めるため、
透明性のある計画を
⑤ 運用と継続的な改善体制 働き方ルールの周知・教育と、
効果測定による改善
評価を続けることで、
常に最適な状態を維持

4-2. コストを抑えつつ価値ある執務室を創る方法

コスト削減は重要ですが、快適性や生産性を犠牲にしては本末転倒です。賢くコストを抑えるには、以下の点に注目してください。

  • ムダスペースの徹底的な見直し: 使用率の低い倉庫やデッドスペースを、ミーティングブースやリフレッシュゾーンに転用。これが最大のコスト削減策です。
  • 既存家具の賢い再利用と配置換え: 全てを新調せず、状態の良い家具はクリーニングや配置換えで印象を一新。
  • ランニングコストの削減: 人感センサー付きLED照明、高効率な空調設備の導入により、長期的な電気代などの経費を削減。
狭い執務室とは?ストレスの原因と快適に働くための改善策を徹底解説



5. 【事例紹介】執務室の変革がもたらした成功

実際に執務室の設計思想を変えたことで、働き方に大きな変化をもたらした事例をご紹介します。

神戸医師協同組合 様

  • 課題:老朽化した旧本部は耐震性やレイアウト面で現代の働き方に合わず、環境改善が必要だった。
  • 施策:組織再編を機に本部を移転し、ブランディング強化と働きやすさを重視した今どきのオフィスを整備。
  • 結果:ワンフロア化や快適な設備により職員の満足度が向上し、社内外から高く評価された。
神戸医師協同組合 様


西村建設株式会社 様

  • 課題:2024年4月からの時間外労働上限規制への対応と、働きやすい環境づくりが求められた。
  • 施策:コミュニケーションとチームワーク強化をコンセプトに、部門連携を促すレイアウトへリニューアル。
  • 結果:サポートセンターを中心に効率的な動線を実現し、業務効率と整理整頓意識が向上、70周年を機に職場全体が活性化した。
西村建設株式会社 様


ガリレイパネルクリエイト株式会社 様

  • 課題:社員増加によりスペース効率や資料共有の課題が生じ、オフィス環境の見直しが必要となった。
    施策:フリーアドレスとペーパーレス化を目的に、明るく柔らかな雰囲気の事務所へリニューアルし、会議ブースや通路拡張を実施。
    結果:社員から「明るくなった」「きれいになった」と好評を得て、働きやすさと業務効率が向上した。
ガリレイパネルクリエイト株式会社 様



6. まとめ:「執務室とは」企業の未来を創る経営戦略の核

「執務室とは」の再定義は、単なる模様替えではなく、企業の未来と成長への投資です。

働く人々の集中力、連携力、そして創造性を最大限に引き出すための設計思想を導入することで、貴社のビジネスは劇的に加速、再定義することで未来がかわります!

まずは、現状の執務室が抱える「小さな課題」の洗い出しから始めてみませんか?「「ここで働きたい」と思える空間づくりこそが、優秀な人材を引きつけ、企業の未来を動かすのです。


◆オフィスのプロ集団がお届けするワンストップサービス

私たちは、オフィス創りの総合商社として、コクヨ、オカムラ、内田洋行、オリバーなど、あらゆるメーカーの製品知識と実績を持ち合わせています。

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最新のオフィスに行ってきました!コクヨライブオフィス&ショールーム見学レポート



◆FAQ:執務室に関するよくある質問

Q1:執務室と事務室は同じ意味ですか?

A:厳密には異なります。執務室は多様な業務を行う空間全体を指し、生産性向上を支える戦略的な場所です。
事務室は、主に書類作成や電話応対などの事務作業に特化した部屋を指すことが多いです。

Q2:執務室のレイアウトを変更する際、どのような点を考慮すべきですか?

A:従業員の働きやすさや生産性向上を目指すことが重要です。現在の課題を洗い出し、チームの働き方に合わせて最適なレイアウトを選択。自然光の取り入れや動線の確保なども考慮しましょう。

Q3:執務室の家具を選ぶ際のポイントを教えてください。

A:快適性と機能性を重視します。長時間作業でも疲れにくい椅子や、収納力と配線整理機能のあるデスクが重要です。将来のレイアウト変更に備え、移動しやすい家具もおすすめです。

Q4:執務室の環境改善は、どのように従業員のモチベーションに繋がりますか?

A:快適な執務室は、日々の業務ストレスを軽減し、集中力や生産性を向上させます。また、企業が従業員を大切にしている姿勢が伝わり、エンゲージメントや帰属意識を高める効果も期待できます。

Q5:執務室をリニューアルする際、コストを抑えるにはどうすれば良いですか?

A:すべての家具を新調するのではなく、再利用できるものを活かしたり、省エネ設備を導入してランニングコストを削減したりする方法があります。中古家具の導入や、デッドスペースの有効活用も有効です。


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